企画・ストーリー

〜ご挨拶〜

2001年JR新大久保駅で、線路に転落した方を助けようとして留学生のイ・スヒョンさんとカメラマンの関根史郎さんが共に帰らぬ人となりました。ご冥福を改めて心よりお祈り申しあげます。

イ スヒョンさんが私たちの心に残したものとは? 母国と日本の架け橋になりたいとの思いを胸に、さまざまな国や地域から来日している人々の姿を通して、国籍を超えた人と人との心の「かけはし」を描いていきたいという思いから本作品をつくりました。

I am a Bridge! 国籍・民族・文化・習慣・世代など様々な違いを超えて「人は誰もが心と心を繋ぐかけはしとなれる!」。『かけはし』の取材を通して出会った世界の若者たちの姿から強く感じたことです。

母国に帰った後も、日本がもう一つの故郷として愛される国であったなら、そして出会いによって生まれる新しい視点が、より多様な可能性と心豊かな社会を生み出しうるのなら、世界の人々と繋がり育まれる友情は、平和で魅力ある日本と世界を創り出していくことでしょう。

企画・製作・統括プロデューサー・主題歌:中村里美

 

<主旨・内容>
Introduction イントロダクション
空前の韓流ブームから、反韓・嫌韓のヘイトスピーチへ。
愛と憎悪のはざまで激しく揺れ動いてきた日韓関係だが、そんな喧噪から離れたところで、ひっそりと、しかし着実に受け継がれている国際交流の絆がある。

2001年1月26日、JR新大久保駅で、線路に転落した日本人を助けようと、カメラマンの関根史郎さんと韓国人の日本語学校生のイ スヒョン(李秀賢)さんがホームから飛び降り救助にあたったが、三人とも帰らぬ人となった。スヒョンさんが外国人であったことから、この事件は大きな話題を呼び、来日したスヒョンさんのご両親のもとには日本全国から弔慰金が寄せられた。

ご両親は深い悲しみの中で、生前「日韓のかけはしになりたい」と言っていた息子の遺志を継ぐため、アジアからの日本語学校生を支援する奨学会の設立を関係者に懇願し、受け取った弔慰金を寄付した。
「息子と同じように、母国と日本のかけはしになることを夢見て来日した若者たちにこれを支給してください」
こうして発足した奨学会(特定非営利活動法人エルエスエイチアジア奨学会)は、この14年間に18の国と地域から来日した790名の留学生に奨学金を手渡してきた(2016年10月現在)。最近では、日本の小学校の教科書にスヒョンさんのことが掲載されるようになり、2015年6月にはご両親に対し、これまでの活動を顕彰して日本政府より「旭日双光章」が授与された。

本作品『かけはし』第1章では、関係者インタビューによってスヒョンさんの人生を浮かび上がらせると共に、彼の死後、ご両親と同奨学会が行った留学生支援活動や奨学金を受けた留学生の姿を描いている。また第2章では、日韓国交正常化から50周年を迎えた2015年に来日した韓国の大学生が、日本の学生との交流や歴史的に朝鮮半島と縁の深い明日香村でのホームステイを通して民間交流しながらスヒョンさんのゆかりの地を訪れる旅を追っている。

※2017年10月、奨学金を授与された留学生総数は844名となります。
※2018年10月、奨学金を授与された留学生総数は897名となります。
※2019年10月、奨学金を授与された留学生総数は948名となります。

 

〜第一章「I am a Bridge!」〜(42分)
ドキュメンタリー映画『かけはし』の第一部では、「日韓のかけはし」になることが夢だったスヒョンさんの志を受け継いだご両親の活動を追うとともに、あの事故から16年を経た今、彼の精神が様々な形で引き継がれている様を描いていく。

 

~第二章~「足跡をたどって」〜(53分)
新大久保での事故から16年。イ・スヒョンさんの志に思いを馳せて日韓関係をもう一度見つめ直そうという動きが若者たちの間から起こっている。第二部では、釜山から来日した22名の大学生が日本の若者や一般人と交流した1週間の旅に密着し、彼らの心の変化に迫っていく。

 

※本作品は2作品上映となります。上映時間:95分(第一章42分+第2章53分)

◎スクリーンサイズ:16:9
◎音データ:stereo