制作経緯

ミューズの里は、「いのち・平和」「異文化間の相互理解」をテーマに、国籍・世代・ジャンルを超えて、映像・音楽・出版etc.などの様々な媒体を通して国際社会の平和の実現に貢献する事業を目指しています。第一回JASRAC(日本音楽著作権協会)音楽文化賞を受賞した映画『アオギリにたくして』、ドキュメンタリー映画『かけはし』第一章&第二章は、劇場公開後も日本全国や海外の映画館・自治体・学校・公共施設etc.による上映がロングランで続いています。両作品共に、自主上映会を呼びかけています。皆様の町、地域、企業、学校、サークル、団体などで、上映しませんか?

※ 2025年、ミューズの里では、春にかけはし第三章『スヒョンが遺したもの』、同年夏に映画『いのちの音色』を完成・公開予定です。引き続き皆様のご支援・ご協力をお願い申し上げます。

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ドキュメンタリー映画『かけはし』制作経緯

監督(第三章):中村里美(企画・製作・プロデューサー)

 

2001年1月26日、JR新大久保駅でホームから転落した方を助けようとして、日本人カメラマンの関根史郎さんと韓国人留学生イ スヒョン(李秀賢)さんが 線路に飛び降り救助しようとしましたが、共に帰らぬ人となりました。

当時私は、異文化間コミュニケーションをテーマに雑誌づくりなどの仕事をしていました。毎年秋に開催していた50か国5000人が集う「日本語学校語学留学生の祭典」という国際交流イベントの企画運営をする中で、そのイベントの参加校の一つがスヒョンさんが通っていた日本語学校でした。事故直後にご連絡をいただいた時の衝撃を今も忘れることができません。

事故の後、ご両親は長年にわたり息子スヒョンと同じように「母国と日本のかけはしになりたい」という夢を抱いて来日する日本語学校生を支援するために活動されてきました。ご両親と関係者の皆様の活動に大きな感動をいただいてきた一人として、記録を残して次世代に伝えていきたいという想いから映画『かけはし』をつくりたいと思いました。

 

若かりし頃(1986年)、アメリカの学校や教会等で10フィート運動でつくられた「にんげんをかえせ」等の原爆映画を上映し、ヒロシマ・ナガサキの被爆者のメッセージを伝える草の根の民間外交プロジェクトに参加した経験から、様々な違いを超えて大切にしたい普遍的なメッセージを伝えていく上で、異文化間の相互理解を深めていくことの大切さを強く感じていました。帰国後、日本語を学ぶ外国人向け雑誌の編集長をしながら異文化間コミュニケーションをテーマに活動する中で、今も強く感じていることは、「言葉の通訳だけではなく、心の通訳の大切さ」です。

雑誌の取材などで様々な日本語学校を訪れるたびに、言葉を教えるだけでなく、まるで我が子を見守るように留学生に接している日本語学校の先生方の姿に、心打たれ感動することがこれまでにもたくさんありました。

2017年に劇場公開した『かけはし』第一章・第二章は、「スヒョンさんが私たちの心に遺したものとは?」と自問自答する中で模索しながらつくった二部構成によるドキュメンタリー作品ですが、国を超えた心のつながり「かけはし」が平和の礎となっていくことを願って、今も地道な上映活動を続けています。

 

JR新大久保駅乗客転落事故の翌年、「自然に触れながら、一歩一歩みんなで一緒に歩いていくことで、国を超えて深まる友情を大切にしたい」という思いから、スヒョンさんが大好きだった富士山に、彼の母校の留学生や日本で暮らす世界の人々と一緒に登りました。スヒョンさんのご両親が登山隊長となり、韓国のハルラ山やクムジョン山への登山などでのピース登山も行われました。

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▲ピース登山隊(富士登山)

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朗読と歌でスヒョンさんのことを伝える公演活動、誰もが参加して表現できるオープンマイク等で募金を募り、スヒョンさんの頭文字をとって名付けられたNPO法人エルエスエイチアジア奨学会を通して文化・芸術方面に進学を希望する日本語学校生を弊社ミューズの里で応援してまいりました。

『かけはし』第一章に登場する音楽の先生として活躍中の謝長恩さんは、「ミューズの里」奨学生として同奨学会より選ばれた留学生です。台湾からの留学生だった謝長恩さんは、日本語学校を卒業後、東京芸術大学に進み、今は自由が丘にある玉川聖学院の音楽の教師として中高生の指導をしています。

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▲「かけはし」プロデューサー・音楽監督を務めるミューズの里の伊藤茂利。特定非営利活動法人エルエスエイチアジア奨学会より選ばれた、芸術方面に進学を希望する「ミューズの里」奨学生への授与式にて。

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▲玉川聖学院にて、音楽教師として活躍中の謝長恩さん

◎オープンマイク「ミューズの里」
パペラ・赤門会学生

主題歌『かけはし』は、スヒョンさんに捧げた曲で、命日の日に行われた朗読劇やピース登山の交流会、日本語学校語学留学生の祭典やLSH奨学会授与式の懇親会などで、国籍や世代を超えてみんなで一緒に歌い継いできた楽曲でもあります。

◎主題歌「かけはし」
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▲朗読劇、日本語学校の祭典、ピース登山、「がんばれ!留学生」チャリティーライブ等で歌い継がれてきた曲が「かけはし」の主題歌として第1章のラストに流れます。

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▲奨学金授与式後の懇親会にて。奨学生のみなさんと一緒に「かけはし」を歌う。

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国籍や民族・文化や習慣。価値観や世代などさまざまな違いを超えて「人は誰もが心と心を繋ぐかけはしとなれる!」。これは『かけはし』の取材を通して出会った人々の姿から強く感じていることです。

2025年春に完成を目指す第三章『スヒョンが遺したもの』は、「かけはし」第一章・第二章を2017年に公開後、引き続きスヒョンさんのご両親の活動を取材する中で、2019年にお父様のイ ソンデ(李盛大)様がお亡くなりになった後も、お母様のシンユンチャン(辛潤賛)さんが活動を続けておられる姿を追った記録映画です。

「かけはし第一章・第二章」の上映活動と共に、第三章の完成と公開に向けて全力を尽くして参ります。引き続き、皆さまのご支援・ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

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日本で学んだ留学生の皆さんが母国に帰った後も、日本がもう一つの故郷として愛される国であったなら、そして出会いによって生まれる新しい視点がより多様な可能性と心豊かな社会を生み出しうるのなら、世界の人々と繋がり育まれる友情は、平和で魅力ある日本と世界を創り出していくことでしょう。

☆〜ドキュメンタリー映画「かけはし」は、日本と世界の架け橋となる留学生を応援しています〜♪☆